TPP崩壊寸前で中国が大攻勢 米国の裏庭駆ける習氏 各国は警戒も (3/3ページ)

 反米左派が強かった中南米だが、近年はアルゼンチンなど米国に宥和的な政権も増えた。中国には、支援を通じて米国の裏庭である中南米への影響力を拡大したい思惑も透けてみえる。

 ただ、中国にすり寄る中南米諸国も、国際社会ではもはや常識となった「中国リスク」をまったく警戒していないわけではない。

 その顕著な例が、中国が国家戦略の柱に据えるインフラ外交だ。とくに中国が力を入れる高速鉄道輸出は問題続き。中国企業が建設を手がける米国でのプロジェクトが挫折し、ブラジルなど中南米やアジアでも事業が相次ぎ頓挫。ずさんな計画や採算など“官製ビジネス”の陥穽が浮き彫りになった。

 習氏を“熱烈歓迎”してみせたペルーのクチンスキ大統領も、実は「不安」を漏らしている。9月に北京を訪問した際、ペルーメディアに、中国が提案している南米大陸の横断鉄道計画は、建設コストが膨大なうえ、環境に悪影響を与える可能性があると懸念を示しているのだ。

 トランプ氏は、中国が割安な人民元を武器に輸出攻勢を米国にかけることを警戒し、「雇用を米国に取り戻す」と訴えている。

 さらに、南シナ海での活発な軍事拠点化など各地での中国の覇権拡大に向けた動きに、国際社会も不安を募らせている。

 こうしたなか、習氏はペルーでの演説で、「中国は覇権を目指さない」と訴え、不安払拭に躍起だ。

 トランプ次期米政権の方針と合わせて、中国の動向が注目を集めそうだ。(柿内公輔)