カジノ解禁によって依存症が増えると信じる論拠の一つになっているのが、成人の4.8%がパチンコや競馬などギャンブル依存症だとする厚生労働省の調査だ。「罪悪感を感じたことがあるか」という問いなど、国際比較にそぐわない定性的調査にもかかわらず、「他国がほとんど1%前後なのと比べて非常に高い数字」と結論づけている。
しかし、日本がパチンコ王国であることは事実だ。国内にはいま、パチンコ店が約1万4000あり、パチンコ人口は1000万人、市場規模は20兆円超といわれる。
現在、刑法で禁じられているカジノを解禁するには特例法の成立が不可欠。一方、パチンコは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)の対象だが、換金方法など曖昧な裁量行政で管理。事実上、野放し状態が続いていた。
実施法に盛り込まれることになるギャンブル依存症防止策は、カジノだけではなくパチンコや競馬も含めた国内初の抜本的対策となることが期待されている。国際観光産業振興議員連盟(IR議連)幹事長の岩屋毅議員は11月30日の審議で、「法案には不正行為の防止や有害な影響を排除するための措置を政府が講じるべきだと書いている」と説明している。
カジノ解禁論議に連動して、パチンコ業界の透明化も進めば社会的メリットは大きい。パチンコ業界では新たに業法を策定し、盤面のクギを調整できない台への置き換えが進んでいるほか、換金方法の制度化も検討されている。
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カジノ法案では、大都市圏で2カ所程度のIRを開設し、その成否を見ながら地方自治体が申請した計画を国が認可する仕組みを規定している。一部で懸念されるように全国にカジノができるわけではない。