タイ企業、ベトナム進出加速 消費急伸 10兆円小売市場に狙い (3/3ページ)

2016.12.19 05:00

大勢の客でごった返すベトナムの大型スーパー「ビッグC」(同社提供写真)
大勢の客でごった返すベトナムの大型スーパー「ビッグC」(同社提供写真)【拡大】

 こうした動きに対し、タイの商業銀行も資金面で強力に支援する態勢を整えている。タイ商銀首位のバンコク銀行はホーチミン支店の資本金を8000万ドルから1億7000万ドルに引き上げる認可をベトナム当局から得た。ベトナムの法律では、一民間企業に対する与信は自己資本の15%が上限とされている。同行は、資本金増額で融資枠が従来の2.5倍に拡大した。このほか、上位行のサイアム商業銀行やカシコン銀行も支店や駐在員事務所を相次いで開設、タイ企業の現地支援態勢を強化していく。

 ベトナム市場をめぐり、タイの他業界も動きが慌ただしくなってきた。損保大手バンコク・インシュアランスのベトナム進出が確実視されているほか、格安航空会社(LCC)をはじめ航空各社がタイ-ベトナム直行便を就航させるなど、業界の垣根を越えてタイ企業の進出を支援する動きが広がっている。民間銀行の市場調査では、タイ企業の3社に1社がベトナム進出に「関心がある」と回答したという。

 ベトナム政府も外国企業が参入しやすくなるよう規制緩和などに積極的だ。従来は単独外資が認められていなかった小売業で100%単独出資を認めた。タイなどに後れをとる工業も、豊富な労働力を割り当てて外国企業の投資を募る方針だ。一方で、ベトナムの主力産業である繊維については国内法などで保護を進めていく。アメとムチを使い分けて経済発展を図ろうとする政府の意図が透けて見える。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)といった貿易自由化や技術革新などにも前向きなベトナムの小売市場は、タイ企業が支える構図が強まっている。(在バンコクジャーナリスト・小堀晋一)

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