
コメを収穫する農家。17年度予算案では、稲作から高収益作物への転換を促す=8月、千葉県東庄町【拡大】
政府が22日決定した2017年度予算案のうち、農林水産分野は、16年度当初比0.1%減の2兆3071億円とした。農業の競争力強化に向け11月に政府が策定した「農業競争力強化プログラム」関連や、18年産米からの生産調整(減反)廃止に備えた支援など農家の所得向上対策に重点を置いた。
国内農業に影響する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は発効が不透明となったが、担い手不足など慢性的な課題に対応するため16年度の水準を確保した。競争力強化プログラム関連では、輸出事業者を支援する新組織の創設など輸出強化に計46億円、人材の育成・確保支援に202億円を盛り込んだ。
減反廃止に備え、稲作から高収益作物への転換を促す水田の畑地化推進に1034億円を計上。コメの転作を促す水田活用の直接支払交付金は3150億円に増額した。また、労働時間が不規則な酪農家の負担を削減するための機械化支援に60億円、営農が厳しい中山間地の農業支援に400億円を新たに手当てした。
17年度は目新しい項目が乏しく、農業の基盤整備に力点を置いた側面が強い。農業農村整備の土地改良は4020億円で、16年度当初比で200億円増額。16年度補正予算と合算すると民主党政権前(09年度当初予算)の水準の5772億円に戻った。一方、輸出強化や生産性向上に向けた技術革新関連は16年度並みに抑えられた。
減反廃止を見据え、政府は飼料用米への転作補助金などで引き続きコメ価格を維持する方針だ。ただ、海外産に比べ割高な日本産米は競争力が弱く、政策によるコメ価格の高止まりは輸出拡大の足かせにもなりかねない。農産物価格が下落しても“もうかる農家”の実現には、資材価格の低減など生産コストの削減につながる抜本対策が急務だ。