しかし、契約に盛り込まれた家賃保証は現在の家賃収入を将来にわたって保証するものではない。その額は空室率によって最低保証額まで引き下げられる可能性がある。このほかに定期的な修繕費も必要になる。アパート経営の素人であるAさんには、こうした注意点について業者側から知らされなかったようだ。
税制改正により、相続した財産から控除できる金額が縮小した。それまで相続税を支払うのは全体の4%程度だったが、改正で8%前後に増えると見込まれている。とくに都市部などでは多くの納税者が発生するとみられる。
この動きに合わせて全国でアパート建設が急増している。アパートを建てると、相続した土地の評価額が下がり、相続税が安くなるためだ。国土交通省によると、賃貸住宅着工は、昨年1~10月までの累計で前年同期に比べて10%以上増え、34万5000戸となったという。これは住宅着工全体の4割超を占める水準だ。昨年10月単月をみると前年比22%増という高い伸びをみせた。まさに賃貸住宅が住宅市場の牽引(けんいん)役となっている構図が鮮明だ。