【視点】アパート建設の過熱に潜む罠 住宅市場の歪みに目を背けるな (3/4ページ)

 建設費用を賄うアパート向けローンも増加している。日銀によると、昨年9月末現在の国内銀行におけるローン残高は約22兆円と前年同月より4%増えた。マイナス金利政策で金利が低下し、大家が借りやすくなったほか、金融機関も積極的な融資の開拓に乗り出している。

 なかでも熱心なのが地方銀行だ。設備投資を手控える地元企業には資金需要が少なく、比較的高い金利を設定できるアパートローンが融資を増やすための有望市場と位置づけられているからだ。地銀の中には地元の地主らにアパート建設を提案するため、専門チームを設ける動きもある。

 節税を望む個人と利ざやを稼ぎたい金融機関の思惑が一致した格好だが、そこには罠(わな)がある。需要が増えない限り、供給が増えれば価格は落ち込むのが経済原則だ。実際、アパート建設が増えた一昨年夏以降、首都圏におけるアパートの空室率は上昇傾向にある。

「すでにバブルの様相を呈している」と警告