甘利明・前経済再生担当相は21日、横浜市内で産経新聞の取材に応じ、20日に就任したトランプ米新大統領が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱を正式表明したことに関し、TPP離脱は米国にとってデメリットになるとの認識を示した。
甘利氏は、「アジア太平洋や世界に展開する最大のチャンスを自らなくすことは米国にとって大損失だ」と述べた。「民主国家、議会制民主主義で経済規模が世界1位と2位の国が手を組んでつくったルールは世界の標準たり得る自信を持っていい」とも述べ、TPPの意義を改めて強調した。
甘利氏は、トランプ氏が中国の知財財産権侵害や輸出企業への不公正な補助金、為替操作を厳しく批判しているのを踏まえ「トランプ氏がけしからんと言っている懸念に対応するのがTPPだ。米国がTPPに参加しないで一番うれしいのは中国だ。それに気づかないのはおかしい」と述べ、トランプ氏がTPPを再び推進するよう翻意する可能性はあるとの認識を示した。
中国がTPPの停滞を見据え、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結交渉を主導していることに関しては「アメリカ抜きの経済に中東やアフリカが巻き込まれれば米国にとって不幸だ」と述べ、日米による通商・安全保障面の中国“包囲網”が崩れることへの懸念を示した。