
世界遺産に登録されたカンボジアのプレアビヒア遺跡。タイとの国境紛争は沈静化したが、観光インフラが整うにはまだ時間がかかりそうだ=北部プレアビヒア州(木村文撮影)【拡大】
◆新たな生産拠点に
カンボジアでは、隣接するタイから企業が生産拠点を移してくる「タイプラスワン」もすでに始まっている。タイ国境のコッコン州や、バンテイミエンチェイ州のポイペトを中心に、移転企業を受け入れる経済特別区の建設が相次いでおり、日系企業の移転もみられる。
報告書によると、外国直接投資は東アジア・大洋州全体で上向きになってきている。特にその恩恵を受けているのは、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナムだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体の発足や、タイ、ミャンマーなどの政治的な安定性が、外国直接投資を誘引しているという。
ただ、カンボジアの現地紙プノンペン・ポストによると、カンボジア経済の先行きは必ずしも楽観視できない。例えば、建設業は「右肩上がりではない」との指摘もある。カンボジアの国土管理・土地計画・建設省は、建設・不動産業の売上高が15年の約9億ドル(約1017億円)から16年に約7億2000万ドルへと2割減になったと1月半ばに発表した。
一方で、建設・不動産分野への投資認可額は15年の約33億ドルから16年は85億ドル余りへと大幅に伸びた。同紙にコメントした専門家は「16年には建設・不動産業は明らかに鈍化しており、投資認可額の増加は、実態を反映しているとは言いがたいのではないか」と疑問を投げかけた。