
世界遺産に登録されたカンボジアのプレアビヒア遺跡。タイとの国境紛争は沈静化したが、観光インフラが整うにはまだ時間がかかりそうだ=北部プレアビヒア州(木村文撮影)【拡大】
◆観光収入が減少
建設・不動産業とともにカンボジアの経済成長を牽引(けんいん)する観光業は、来訪客が増えたにもかかわらず観光収入が減ったという現象が起きている。プノンペン・ポストによると、16年にカンボジアを訪れた外国人客は500万人を突破して前年比5%増となった。しかし、観光収入は前年の約35億ドルから約30億ドルに減少している。
北西部のアンコール遺跡群やタイ国境にあるプレアビヒア遺跡など、世界遺産を擁するカンボジアは、国際的にも旅行人気があり、隣国のベトナムやタイ、中国や韓国からの観光客が大半を占める。日本も昨年9月に首都プノンペン-成田間の直行便が就航したことで観光客の増加が期待されている。
ただ、国内の観光資源の魅力を十分に生かすための交通インフラや宿泊施設などの整備がまだ追いついていない。カンボジア政府観光省は観光客数だけでなく、観光収入も引き上げるためには「官民が手を携えて、観光の質を高める取り組みをする必要がある」と強調している。
カンボジアは、引き続き高度成長が見込まれる。しかし、インフラ整備の後れなど国内のさまざまな課題に加えて、18年には5年に1度のカンボジア国民議会選挙が実施され、ASEAN域内で首相在任期間が最長となったフン・セン首相の信が問われる。また、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任した米国の動向など、国際的な政治経済の揺らぎがカンボジアにどのような影響を与えるのかといった不透明要素もある。17年はカンボジア経済にとって予断を許さない1年になりそうだ。(カンボジア邦字誌「プノン」編集長 木村文)