【田村秀男の経済から世界を読む】為替安定が最大の焦点 ドル安なら「米国第一」は不発 (2/2ページ)

2017.2.14 06:16


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 トランプ氏が中国の為替操作を激しく非難するのは無理もないが、財務長官や国家経済会議など政権の経済政策中枢は、やはりゴールドマン出身者が陣取る。そんな具合でトランプ大統領はスタッフの意見を受け入れた。安倍晋三首相との会談の前日には、中国の習近平国家主席と「非常に温かい会話」(トランプ氏)を行い、為替については中国との間で「公平な土俵をつくる」(同)ことで一致したという。

 トランプ政権の政策は金融と産業の双方重視路線だ。日本の対米投資、融資による自動車など主要産業の雇用増進の意義は大きい。しかし、米側が強引にドル安・円高の方向に持っていこうとすれば、日本側は損失を被るので、この対米協調は機能しない。ドル・円の安定への米側のコミットメントが日本の対米協力成否の鍵を握る。

 他方、トランプ政権は性急な対中報復関税を避けるものの、人民元の切り上げを含む為替条項を迫ると予想される。その際、北京は日本を巻き込もうと、米側をたきつける可能性がある。北京は自国産業の対日競争力を意識し、円安・元高を嫌う。昨年前半には円高に仕向けようと日本国債を爆買いした。安倍政権は油断することなく、日米の枠組みを米中為替交渉と完全に切り離すよう、トランプ政権にくぎを刺すべきだ。(産経新聞特別記者)

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