
乾燥させたノリに破れなどがないか調べる加工工場の従業員=1月、佐賀市【拡大】
コンビニおにぎり用の需要や節分での「恵方巻き」ブームからノリの国内消費が堅調な中、漁業者らが高齢化や働き手の減少に悩んでいる。ノリ生産には乾燥機など初期投資がかさむほか、多くの人手が必要な作業も多い。こうした負担を減らすことで若手の確保につなげようと各地の漁協が共同生産を促すなど安定操業に腐心している。
◆年30人が廃業
「今がノリ生産で大事な時期。まとまった睡眠はしばらく取れない」。養殖ノリの収穫が最盛期を迎えた2月上旬の深夜、佐賀市の漁師、川崎賢朗さん(56)は完成品を蛍光灯にかざし、充血した目で色つやを確認していた。収穫したノリを薄く加工するため機械を微調整しながら昼夜を問わず作業し、多い日で10万枚以上を生産。破れなどがないかも1枚ずつ調べ、出荷している。
最大産地の九州・有明海に面する佐賀県は、直近まで13年連続で生産量全国1位が続く。佐賀県有明海漁協は今期の目標に昨期とほぼ同量の約19億枚、生産額228億円を掲げる。ただ県内のノリ漁業者は5年ほど前に1000人を割り、現在800人余り。毎年約30人が廃業する中、少なくなった担い手で全国トップを維持しているのが現状だ。
有明海では近年不作が目立ち、原因に諫早干拓などによる漁場悪化を指摘する声もある。今期は県内ほぼ全域でノリの色素量が減る「色落ち」が発生している。同県太良町の男性漁師(47)は、「ほとんど値が付かない」として一部は収穫を見送った。不作による価格高騰から今期の生産額は目標に届きそうだが、生産量は下回る見通しだ。