【アセアニア経済】マレー半島貫く「一帯一路」 中国「陸の運河」建設着々 (3/3ページ)

2017.2.27 05:00

中国企業による埋め立てが進むマレーシア東部のクアンタン港=1日(吉村英輝撮影)
中国企業による埋め立てが進むマレーシア東部のクアンタン港=1日(吉村英輝撮影)【拡大】

 実現すればクアンタン港は、マレー半島を横断するその鉄道で、250キロ離れたクラン港につながる。同国最大のクラン港は、首都のクアラルンプールにも近い免税の自由港。クアンタン港も今年6月に自由港になる予定。両港がつながれば、戦略的な「陸の運河」が出現する。

 マレーシアの東海岸は開発が遅れ、西海岸に集中する日系企業などの関心は薄い。だが、中国から近く、ナジブ氏の選挙地盤でもある。中国は、南シナ海でのマレーシアとの領有権問題も念頭に、積極的にこの地域の開発に協力してきた。

 一方、マラッカ海峡は、米国と軍事協力関係にあるシンガポールが、同海峡との接続点であるシンガポール海峡を牛耳り、影響力を保持する。シンガポールの海軍基地には米海軍が巡回寄港するなど、中国にとっては安保上の“弱点”だ。

 タンカーと鉄道では輸送量が違い経済効果は限定的だが、東南アジア研究所(シンガポール)のタン・シュー・ムン上級研究員は、シンガポール海峡を鉄道で回避する新構想は「中国にとり地政学的意味合いが大きい」と指摘する。(マレーシア東部クアンタン 吉村英輝)

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