今回はどうか。おそらく経営が厳しくなる不動産会社はいくつかでてくるだろう。ただ、今回はリーマン・ショック時とは異なり、理由なく上昇していた不動産バブルがはじけたわけではない。着工していない土地なら建築費が落ち着くまで待てばいい。出口は見えている。
ただ、問題はその出口が限りなく遠いことだ。今の建築費の高騰の最大の要因は人手不足だが、その人手不足の解消に簡単にメドがつくとは思えない。今回の人手不足は、東日本大震災の復興需要に、2020年の東京オリンピックとそれにまつわる社会インフラ需要が重なったことが要因だ。
ゼネコン側が別に食い扶持に困るわけでもないために、マンションのダンピング受注をしなくなった。不動産会社はゼネコンの言い値で仕事を請け負わざるを得なくなっており、この状況は少なくとも2020年の直前まで続く。
消費者もそこはよく見ていて、別に価値が上がっているわけでもないのに価格が上がっている物件を買うことはしない。2016年に中古の民間分譲マンションの戸数が新築を上回ったのは、まさにそれが理由だ。同じお金を払うなら建築費が安い時に建てた資産価値の高いものの方がいいと判断しているのだ。
この状態が3年も続くとなるとキツイのはマンション専業のデベロッパーや専業ゼネコン。新築が売れてこそのビジネスモデルだから、仕事がなければ会社は回らない。この春は越えられても次の春はどうか、といった声が出始めている。
(オンライン編集部=文)(PRESIDENT Online)