【高論卓説】住宅建設に景気底上げ効果 失速させない金融・財政政策必要 (2/2ページ)

2017.5.2 05:59

 だが、バブル期のように、不動産価格が急騰しているわけではない。1月の公示地価ではようやく住宅地が9年ぶりの上昇となったが、上昇率はわずか0.022%。下落が止まったにすぎない。商業地の上昇で全用途の地価が上昇に転じたのも2016年から。もちろん都心の一等地などでは大きく上昇しているところもあるが、平均地価からみる限り、バブルと言うにはまだまだ程遠い。

 前述の新設住宅着工にしても消費増税前の駆け込み需要の水準をかろうじて上回っているだけ。4月の件数が昨年の8万2398戸を上回れるか、あるいは失速してしまうかの分岐点である。

 住宅建設による景気底上げ効果は大きい。住宅そのものへの投資だけでなく、家具やインテリア、家電製品など付随した消費の増加をもたらす。アベノミクスによる円安で企業業績は好調だが、消費の低迷が続いている。日本の国内総生産(GDP)の6割を占める消費が盛り上がらなくては、経済成長はおぼつかない。

 人口が減るのだから住宅建設も減るのが当然、という主張もある。だが、バブル崩壊後の景気低迷もあって「住宅の高齢化」が進んでいる。建設から時間がたち、建て替えや大規模修繕が必要になってきている建物が増えている。「ウサギ小屋」と海外から揶揄(やゆ)された日本の住宅を、もう少し大きく、快適なものに変えていく必要もある。

 ここで、もう一段の住宅建設を促す金融・財政政策を打つべきだろう。「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」と言うが、バブルを懸念するあまり、せっかく底入れしつつある住宅建設を失速させるような政策を取るべきではない。

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【プロフィル】磯山友幸

 いそやま・ともゆき ジャーナリスト。早大政経卒。日本経済新聞社で24年間記者を務め2011年に独立。55歳。

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