その後、パンプスを渡され、「お客さま、たいへんご面倒をお掛けしました。ありがとうございます」と送り出されたそうだ。これは、われわれ日本人にとって、ごく普通の対応だといえるだろう。
そして帰路、JFK空港でも彼女は同じようにセキュリティー・チェックで引っかかってしまった。すると、職員から「Put your shoes off and move」と言われたそうだ。日本語に訳すと「靴を脱いで進め」という意味で、監獄で看守が収監者に対して発するような口調だったという。せめて、最初に「Please」と言われたり、最後に「Thank you」という言葉があったりすれば、乗客の気持ちもいくらか和らぐだろう。
日本と米国では航空当局のセキュリティーの厳しさが違うのかもしれないが、両国の対応には非常に大きな差があることを彼女はまざまざと思い知らされたそうだ。
これらの騒動やエピソードから見えてくる側面の一つは、日本の常識と世界の常識には大きな差があるということだ。日本の常識を海外に持ち出したところで必ずしも通用するとは限らない。下手に持ち出さない方がいい場面も多々ある。