RCEPでは、自国産業を守るため高いレベルの自由化や国有企業改革など透明性が高い貿易ルールの導入には慎重だ。日本やオーストラリア、ニュージーランドなどTPP参加国の先導で、「アジア版TPP」にされるのは回避したい。
こうした日中の主導権争いで草刈り場となるのが、RCEPを提唱したASEANだ。日本は世耕氏が4月に各国の経済閣僚を地元の和歌山県に招いてもてなし、個人的な信頼関係を築くなど布石を打ってきた。
途上国の例外を認めつつ、全体では質の高い合意を目指す。日本のそんな思惑が奏功するかは、“ASEAN票”を着実に確保できるかにかかっている。(ハノイ 田辺裕晶)