
臨時閣議に臨む安倍晋三首相(中央)ら閣僚=9日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
政府が骨太方針と成長戦略で「人材投資」を柱に掲げたのは、人口減少という構造的な課題に対処しなければ日本経済の力強い成長は実現できないとの危機感がある。人手不足が経済成長の阻害要因として懸念される中、AIなど先端技術を活用できる人材を育成し、「人口減の壁」を克服できるかが今後の日本経済を大きく左右しそうだ。
「『成長と分配の好循環』を拡大するため、人材への投資を通じた生産性の向上を図る」。臨時閣議に先立ち開かれた経済財政諮問会議と未来投資会議の合同会合で、安倍晋三首相はこう述べた。
安倍政権は平成24年12月の発足以来、法人税の引き下げなどを通じ企業支援を優先する政策を重視してきた。
円安の効果もあって、企業業績は拡大。1~3月期の法人企業統計では、保険・金融業を除く企業の経常利益が20兆1314億円と、1~3月期としては過去最高を記録した。雇用情勢も好転し、4月の有効求人倍率は1.48倍と、バブル経済時の最高水準(1.46倍)を上回っている。
だが、内需の柱である個人消費は低迷が続き、総務省の家計調査によると、28年の勤労者世帯(2人以上)の消費支出は月平均で30万9591円と、24年の31万3874円を下回った。