政府は11日、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意を受け、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)等総合対策本部」の設置を決めた。TPPと日欧EPAの双方について横断的に対応し、欧州産の輸入拡大で影響が懸念される農業の体質強化を急ぐ。12日からは神奈川県の箱根で米国抜きのTPP11カ国による首席交渉官会合を開き、具体的な協定内容の検討を始める。
対策本部は全閣僚が参加するこれまでの「TPP総合対策本部」を改組した。週内にも、影響を受ける農林水産業などを対象に、総合的な国内対策の基本方針を取りまとめる方針だ。
併せて自民党も11日、大枠合意後初めてとなる日欧EPA対策本部を開き、国内対策の検討に着手。国内市場を欧州に開放する牛・豚肉などの畜産物やチーズなどの乳製品を中心に補助金を含む支援策や競争力強化策を立案する見通しだ。
山本有二農林水産相は11日の記者会見で「(生産現場の)コスト低減やブランド化などが推進できるように政府与党一体で国内対策を進めたい」と述べた。
一方、日本が議長国を務める箱根会合では、米国抜きのTPPを早期に発効させるため協定内容をどの程度修正するかで11カ国の足並みがそろうかが焦点だ。
7日付で、TPP交渉の事務方トップに就任した梅本和義首席交渉官は、11日に記者会見し、「日欧EPAが大枠合意した追い風をうまく活用し、議論を前に進めたい」と意欲を示した。