9条改正については、安倍首相が示した、自衛隊を書き込む“加憲”こそが、最大公約数の「現実」的な案だということなのでしょう。しかしながら、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射に成功したと発表し、米本土への攻撃能力を獲得しつつある「現実」を踏まえれば、首相の案は踏み込み不足と言わざるを得ません。改憲には大きな政治的エネルギーを必要とします。その力は、国民の生命・安全を守り抜くために費やすべきではないでしょうか。私たちは防衛軍の創設、9条全面改正を堂々と訴え、政策論争に臨んでまいりたいと思います。
--憲法改正のテーマとして、教育無償化も取り沙汰されていますが
就学前教育や高等教育をめぐっては、各政党が無償化をうたっていますが、私たちは反対です。「骨太の方針」においても、幼児教育・保育の早期無償化が盛り込まれました。家庭の経済状況に関わらず、誰もが教育を受ける機会を保障することは大切です。しかし、憲法に明記するとなれば、義務教育と同様、世帯収入や子供の数に関係なく、一律に無償化されることになるはずです。この財源として教育国債やこども保険、消費税などが検討されていますが、負担を増加させた揚げ句、一律に無料にするのは、増税・バラマキにほかならないのではないでしょうか。
待機児童問題が解決されないなか、就学前教育が無償化されれば、一層の保育所不足が問題となる可能性もありますし、保育の質の悪化も起こりえます。また、「高等教育の無償化」は、授業料が無料であることのみを理由に進学する人を増やし、経営状態が悪い大学を公金で延命させることにもつながります。結果、高等教育の質低下を招きかねません。教育の機会均等のための無償化というのであれば、その内容や質にも議論が及ぶべきです。