
江戸の町並みを再現した千客万来施設のイメージ図(東京都のホームページより)【拡大】
豊洲市場(東京都江東区)内に計画されている観光拠点「千客万来施設」のオープンにも暗雲が垂れこめている。小池百合子知事が6月、豊洲移転後に築地市場(中央区)の跡地を再開発する基本方針を示したことで、運営業者が「前提条件が崩れ、撤退も含めて検討せざるを得ない」と都に伝えたためだ。撤退すれば、移転計画そのものが頓挫しかねず、都側は引き留めに懸命だ。
「全く非現実的。築地を再開発するなら、テナントが集まらない。知事は何を言っているのか」。千客万来施設を整備・運営する業者「万葉倶楽部」(神奈川県小田原市)の関係者は、基本方針に怒りをあらわにした。
「築地のにぎわいを継承・発展させ、食の魅力を発信する」と計画された同施設は、24時間営業の温泉やホテル、江戸の町並みをイメージした飲食店などを整備する予定だ。年間約138万人の来場者を見込み、誘致する100店以上のテナントとして、主に想定しているのは築地の場外市場の業者だという。
だが市場の移転延期で、今年1月に予定していた建物着工は延期に。さらに小池知事は6月20日、豊洲に移転後、築地の跡地は「食のテーマパーク」として再開発する基本方針を発表した。