
走行が始まった中国高速鉄道の新型車両「復興号」=26日、北京(共同)【拡大】
ところが今年初めに、マレーシア側が突然、中国中鉄と結んでいた「バンダル・マレーシア」の覚書が失効したと発表した。理由ははっきりしていないが、中国中鉄側で海外投資に支障を来す何らかの事情が発生したのは間違いない。
あわてたマレーシア側は、今度は中国の大富豪、王健林氏が経営する大連万達集団に接近し始めた。ナジブ首相は5月に北京で開かれた「一帯一路」の国際会議に出席した際にも、万達集団と接触、共同会見まで設営して秋波を送った。
ところが資金の海外流出を懸念する中国の中央政府は、企業の海外投資に厳しい姿勢で対応し始めた。これを受けて銀行監督当局は大手銀行などに対し、海外に積極投資してきた企業の信用リスクを調べるよう求めた。それら企業の中には万達集団の名前も入っている。このため、同集団は「バンダル・マレーシア」への投資をあきらめざるを得ない状況となっている。
中国中鉄は高速鉄道そのものの受注競争から降りたわけではない。だが中国のメディアの中からも「日本が有利ではないか」との見方が出てきており、混戦模様となってきた。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)