北朝鮮有事に備え「24時間生放送」準備 ラジオ「しおかぜ」北の妨害は低調も「資金難」に (2/3ページ)

北朝鮮向けラジオ「しおかぜ」を収録する特定失踪者問題調査会の荒木和博代表(左)と村尾建兒専務理事=東京都内
北朝鮮向けラジオ「しおかぜ」を収録する特定失踪者問題調査会の荒木和博代表(左)と村尾建兒専務理事=東京都内【拡大】

 特定失踪者問題調査会は平成17年に「しおかぜ」の短波放送を開始。28年には北朝鮮内で多くの人が聞くとされる中波放送も始めた。番組は日本語、朝鮮語、英語、中国語で制作。拉致被害者を励まし支援するとともに、厳格な報道統制を敷く北朝鮮を揺さぶろうと独裁の実態なども伝えてきた。

 最近では国際社会に衝撃を与えた金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、正男(ジョンナム)氏の暗殺なども放送。北朝鮮当局はしおかぜを注視しており、妨害電波を執拗(しつよう)に発射し、内容を否定する公式放送を流すこともあった。

 こうした中で昨年以降、妨害電波の頻度が激減し時間短縮も顕著になった。原因は不明だが、北朝鮮国内で電力供給が低下し、継続的な電波の発射が困難になっているとの分析がある。

 さらに、送信設備の整備が行き届くしおかぜ側に対し、北朝鮮側が妨害電波を発信する設備は出力が低く老朽化しているとみられ、電波の出力に優れたしおかぜへの悪影響は皆無だ。

 同会が北朝鮮国境近くの韓国で行っているモニタリングでは、しおかぜの短波放送の受信感度は極めて良好で、脱北者も「北朝鮮で聞いていた」と証言した。

 粘り強い取り組みの成果が見える一方、一般有志の援助などをもとに手弁当で運営するしおかぜには、資金難の壁が立ちはだかる。

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