業界では、2位の出光興産と4位の昭和シェル石油の合併が出光創業家の反対でストップしているものの、経産省による「官製再編」は総仕上げの段階にある。
企業単位の再編が限界に近づきつつあり、経産省は新たな戦略を考えざるを得なかった。同省幹部は「製油所能力を世界と戦える水準まで持っていく」と強気だが、表情には焦りものぞく。
利益確保に苦労する各社にとって高付加価値製品の生産強化に必要な設備投資は重い負担となる。「利益が出れば将来、研究開発やインフラ整備に投資したい」(コスモエネルギーホールディングス幹部)のが本音だが、そうそう余裕はない。
国内需要の回復が期待できない状況下で、業界が活路を見いだそうとしているのが、経済成長が続くアジアなどへの輸出。日本の輸出比率は現在2割弱。約5割ある韓国などと比べると外需の取り込みで大きく出遅れている。
石油業界に詳しい大手銀行のアナリストは「競争力のある製品を増やし海外勢と競合できるかが鍵。各社、単独では無理で連携が不可欠だ」と指摘している。