
東京・渋谷のNHK放送センター【拡大】
同時配信のニーズも強いとは言い難い。NHKが昨年、全国規模で実施した実証実験では、利用者は6%にとどまった。世論調査でも、過半数は「利用したいとは思わない」と回答している。
NHKは放送センターの建て替えや高画質の4K、8K放送など、巨額の事業計画がめじろ押しだ。読売社説は「この上、同時配信の費用負担がかさめば、受信料値上げにつながる懸念は拭えまい」と指摘する。
朝日も8月3日付社説で、「自らの収入の確保を優先させる姿勢は、組織のさらなる肥大化を招き、自己点検の機会を失う」と警告している。
ライバルなき肥大化
NHKの昨年度の受信料収入は6769億円。これは民放最大手である日本テレビホールディングスの放送関連売上高の2倍近い。「ネット受信料」を新設すれば、さらに年間200億~300億円の増収になるともいう。
子会社13社の利益剰余金も2015年度末で948億円にのぼり、会計検査院から不適切だと指摘されている。
後を絶たないNHK職員の不祥事には、経費の不正請求も少なくない。並び立つ競争相手がいないNHKは、経営感覚が鈍くなりがちだ。その分、自らを厳しく律する必要がある。
NHKには報道姿勢にも厳しい批判がある。「まずは、不偏不党などの放送法の趣旨を踏まえ、バランスの取れた番組や報道を通じて、視聴者の信頼に応えることが大切だ」という読売社説にNHKの経営陣はしっかりと耳を傾けるべきだ。