香港映画「中国化」進み低迷 大陸向け合作が急増、香港にこだわる若手監督も頭角 (2/2ページ)

 「香港スターが(広東語でなく)北京語を話す姿なんて見たくない」。合作映画は香港で不評だが、北米に次ぐ世界2位の市場に成長した中国でヒットを飛ばしている。

 そんな中、1本の自主製作映画が香港映画界に一石を投じた。若手監督5人が中国の支配が強まる10年後の香港をオムニバス形式で描いた「十年」。大規模民主化デモ「雨傘運動」の翌年の15年に香港で上映されるや、内外で大反響を呼び、今年7月から日本でも公開された。

 伍嘉良監督(36)は第5話「地元産の卵」で、文化大革命時の紅衛兵をほうふつさせる香港の子供たちが、街中で「禁句」を取り締まる様子を描いた。大陸での上映は禁止されたが、DVDは今も売れ続けている。伍監督は「香港の政治や言論の自由は後退しつつあるが、その独自性にこそ価値がある」と力を込めた。(香港 共同)