
東京電力福島第1原発。左から1、2、3、4号機=4日【拡大】
しかし、批判や不満を一手に引き受ける規制委を首相官邸は高く評価。「厳し過ぎる」審査に合格すれば安全性の担保になるからだ。18日に任期満了となり22日まで職務を続ける田中俊一委員長に一時は慰留を求めた。
「柏崎」最大焦点に
一方で、今年1月には「事故前への回帰ではないか」との批判が上がる人事が明らかになった。事務局トップの原子力規制庁長官に、経産省出身の安井正也氏が就任した。田中氏の路線を踏襲する方針の更田豊志次期委員長のかじ取りが注目される。
今後の最大の焦点は、事実上の審査合格方針を決めた東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)への対応だ。規制委はいくつかの条件付きだが、東電が原発の運転者として信用できるとお墨付きを与えた。国会での厳しい追及は避けられない。
2基をめぐっては政府・与党内も、東電の経営改善のために審査に合格させ、早期に再稼働させるべきだとの意見と、世論に配慮する慎重意見で割れている。ただ、新潟県の米山隆一知事は、再稼働への地元同意判断には第1原発事故の検証が必要で「3~4年はかかる」と表明しており、再稼働時期は見通せていない。