
「先生さようなら」。カンボジア式で土居清美校長(右)にあいさつをするシーセフリーダーズアカデミーの園児。日本式の「しつけ」をカンボジア社会に定着させることもアカデミーの重要な教育方針だ=プノンペン市内(木村文撮影)【拡大】
1991年の内戦終結後、復興の時代を経てカンボジアは今、毎年7%前後の経済成長を続けている。10年ごろからは日系企業の進出も急増し、16年には1人当たりの国民総所得が1000ドルを超えて、世界銀行の分類で「低所得国」から「低中所得国」に移行した。
JICAが協力
しかし、ここ数年、どの産業セクターでも直面しているのが人材不足だ。なかでも、技術者や熟練労働者、あるいは中間管理職を担う労働力の不足が指摘されており、その要因の一つとして基礎教育の不足が挙げられている。
カンボジア教育省の統計によると、カンボジアでは小学校の入学率は100%近くになった。ほとんどの子供が小学校に通うようになった計算だが、退学する子供も多く、中学への進学率は約56%、その上の高校となると25%に下がる。貧困だけが問題ではなく、学校そのものに魅力がないことも一因とされる。暗記するだけの授業が多く、体育や美術など情操教育は後回しにされ、主要科目だけが重要視される。理科の実験道具、絵の具や楽器など備品をそろえている学校はほとんどない。
学校教育の質を向上させるために、「教師の育成」から手をつける取り組みも始まった。日本の国際協力機構(JICA)は、現在2年制の教員養成校を、4年制の「教育大学」へと格上げするカンボジア教育省の事業に協力している。