64年大会の組織委員会は、文化プログラムについて「日本固有のものだけを展示すること」という基本方針で臨んだ。第二次世界大戦の焦土から復興を果たし、大会の約半年前には経済協力開発機構(OECD)のメンバーとして加盟が認められた。こうした背景から、日本文化の存在を世界に示そうとしたのだろう。
20年大会はどうなるのだろうか。組織委員会の文化・教育委員会が7月初旬、「東京2020フェスティバル(仮称)」という案をまとめた。「文化オリンピアード」と、はっきりと位置付けをして4本の柱を掲げている。「日本文化の再認識と継承・発展」「次世代の育成と新たな文化芸術の創造」「世界への発信と国際交流」「地域の活性化」である。
世界を動かす「ソフトパワー」を日本で作り出そうという試みと言い換えてもいいだろう。プログラムのテーマとして、日本を象徴する場所で古今東西のテクノロジーを融合することや、国内外のアーティストの交流によって新しい文化芸術表現を創造することなどが考えられている。
中国の経済の膨張に伴う領土や利権の拡張に対して、世界はいまどう対応したらよいのか模索している。北朝鮮による核危機はいうまでもない。この先にある20年に向かって、日本のソフトパワー戦略を練り直すのは良いことである。
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【プロフィル】田部康喜
たべ・こうき 東日本国際大学客員教授。東北大法卒。朝日新聞経済記者を20年近く務め、論説委員、ソフトバンク広報室長などを経て現職。63歳。福島県出身。