
カズオ・イシグロ氏(矢島康弘撮影)【拡大】
ノーベル文学賞にカズオ・イシグロ氏が決まったことについて、世界で称賛が相次いだ。一方、有力候補とされた村上春樹氏の“落選”に落胆の声も上がった。
■英国
イシグロ氏の著書を扱う出版社の編集者、ステファン・ペイジ氏は英紙に「実にすばらしい特別なニュースだ」と喜びを述べた。
イシグロ氏受賞の知らせを聞いたペイジ氏は「彼は間違いなくまれにみる作家だ」と解説。「彼が持つ知的好奇心と力強い感情は多くの読者をひきつける」と絶賛した。(ロンドン 岡部伸)
■米国
カズオ・イシグロ氏は米国でも、作品ごとに新たな作風を生み出す玄人好みの作家として、根強いファンが多い。米紙ニューヨーク・タイムズは、2015年に発表された「忘れられた巨人」の書評の中で、イシグロ氏の正確な表現手法や、登場人物の緻密な設定を称賛し「彼は同じ小説、いや、同じタイプの小説すら二度と書かない」と述べ、新たな世界の創造に挑む作家の特徴を指摘した。(ワシントン 塩原永久)