
ベトナム・ホーチミン市の下水道管路。フランス統治時代に建設されたものが多く、老朽化が進む(積水化学工業提供)【拡大】
あくまで名目が実証実験のため規模や範囲は限定されるが、「実際に日本の技術を間近で見せられるのが最大のポイント」(国交省)だ。施工後の現場では見学会やセミナーなども開かれる予定。技術だけでなく、環境への配慮や安全意識までも実感できる“ショールーム”となれば、今後の受注にもつながりやすいと期待する。
第1弾のプロジェクトとして12月から実施されるのが、積水化学工業がベトナムのホーチミン市で施工する下水道管路の再生工事だ。同社は2014年にベトナムに水インフラ事業会社を設立したほか、現地のプラスチックパイプメーカーと業務・資本提携しており、国交省も事業効果が高いと判断した。
積水化学が再生工事で計画するのは今回のベトナム向けに開発した新工法だ。従来工法では、管路を補強するための鉄筋を張り巡らせてから塩化ビニール管を設置するが、積水化学は補強材を取り付けた塩化ビニール資材の帯を管状のパイプにする工法を開発。これにより、工期短縮と低コスト化を可能にするという。
ベトナムはフランス統治下の1870年代に造られた下水道管路が老朽化しており、陥没事故などが問題となっていた。日本とベトナム両政府は2010年に技術協力で合意するなど下水道事業では関係が深い。再生工事はマンホールとマンホールの間の約40メートルにすぎないが、同社関係者は「ベトナムでの受注拡大に向けた一つの契機にしたい」と意気込む。
中韓企業進出も顕著
新幹線などの鉄道分野と比べて地味な印象もつきまとう下水道インフラ輸出だが、高い事業成長率が見込まれる。