
専用のゴーグルと、実際に見えるVRの映像。12世紀前半の寺院建築の様子を再現している=シエムレアプ州での観光博(西村清志郎氏撮影)【拡大】
9カ月で175万人
開発に協力したHISの河北有一さんは、カンボジアに勤務していた経験と、米国で出合ったタイムルーパーのVRコンテンツとを結びつけ、新しいコンテンツとして開発するために同社とグローバル契約した。
タイムルーパーは、ロンドンやニューヨークなど欧米の6都市で約50種類のVRコンテンツを作成して人気を得ているが、アジアではアンコールワット遺跡が初めてとなる。また、世界遺産での試みとしても初で、アンコールワットでの反響が注目される。
河北さんは「旅行に行って、ただすてきな写真を撮るだけではなく、歴史の深みを体験してほしいと考えた。アンコール遺跡群にはまだまだ多くの見どころがあり、今後はそこでもVRコンテンツを増やしていきたい」と話している。
アンコール遺跡群は、1992年にカンボジア国内で初めて世界遺産に指定された。カンボジアではその後、北部タイ国境にあるプレアビヒア寺院、中部コンポンチャム州のサンボー・プレイ・クック遺跡の2つの世界遺産が誕生したが、アンコール遺跡群が最も有名で人気が高い。
カンボジア観光省によると、2017年1月から9月までの間にアンコール遺跡群を訪れた外国人は約175万人。前年同期比で12%増加した。最も多いのは中国人、次いでベトナム人だ。特に中国人旅行客は急増しており、カンボジア政府は中国人誘致に力を入れ始めている。
一方でカンボジア政府は今年2月から、アンコール遺跡群の入場料金(1日券)を20ドルから37ドルへと大幅に値上げした。それでも観光客は減少しておらず、チケット売り上げは1月から9月で約7570万ドルと、前年同期比7割増になっている。(カンボジア月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)