英国とEUが離脱条件で基本合意 「十分な進展」と欧州委

 【ベルリン=宮下日出男】英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、メイ英首相とEUのユンケル欧州委員長は8日、ブリュッセルで会談し、離脱条件をめぐる協議で基本合意した。欧州委員会は離脱条件で「十分な進展」が得られたとして、英以外の27加盟国に将来関係への移行を勧告。難航してきた交渉は次段階の協議へ大きく前進した。

 27カ国は14、15日の首脳会議で移行の是非を判断する。移行が決まれば、欧州委は離脱に伴う激変緩和措置となる移行期間の設定を含め、将来協議の準備を進める方針。何の合意もなく英国が離脱する危険はひとまず後退しそうだ。

 離脱条件をめぐっては、メイ氏とユンケル氏が4日に会談したが、3つの主要論点のうち、英アイルランド国境問題が障害となり、合意が持ち越された。双方は週内の合意を目指して改めて調整を急いでいた。

 公表された共同文書によると、英・北アイルランドと南のアイルランド間に厳しい国境管理を設けず、英国は自由往来を維持する意向を表明。EUの規則適用が続く印象を与え、北アイルランド側の反発を招いた当初の表現は修正された。

 双方は英側が支払う未払い拠出金の精算でも、EU職員の年金などを含めることで合意。市民権でもEUと英国に現在暮らす互いの出身者に労働や教育、福祉で離脱前と同等の権利を保障することで一致した。

 ユンケル氏は記者会見で「突破口が開けた」と表明。メイ氏は「27カ国の承認を得られることを望む」と述べた。