【高論卓説】保育の無償化、さらに熟慮を 幼少期は家族の触れ合いが第一 (2/2ページ)

 事実、自民党の提言には、基本的には幼児教育の無償化の必要性は示しながらも、「幼児期は能力開発、身体育成、また人格の形成、情操と道徳心の涵養(かんよう)にとって極めて大切な時期であり、家庭・保護者の果たす第一義的な役割と共に…」「子育ての第一義的責任は家庭・保護者にあることを大前提としつつも…」「0~1歳児は、家庭の触れ合いが特に大切との指摘も踏まえ…」など、随所に家庭、つまり保護者自身が育てることの重要性が強調されている。また、「0~2歳児についても、家庭で保育をしている方々とのバランスを考慮しつつ、保育の無償化の検討を進める必要がある」とし、いわゆる専業主婦で子育てを行っている女性たちへも、その役割や意義を強調するものとなっているのである。

 中学生の子供を持つ母として、この十数年の子育てを振り返ってみても、幼少期に子供第一の働き方をし、触れ合う時間を持てたことは、自分自身にとっても、人生の宝のような時間であった。特に幼稚園に通うまでの4年間は、仕事との両立においても、また子供と向き合う時間においても、苦しいことは山ほどあった。まだ中学生のわが子に、これから先、どのような将来があるのかは分からない。しかし、その時間を経たからこそ、母親として、至らないことはまだまだあるとはいえ、今、それなりの務めを果たせてこられたという思いはある。

 自民党の提言が、子供を第一と考えたときの親の責任と、母親となった女性にとって、何が「活躍」で、何が「輝く」要素となるのかを示すものであるならば、今後進めていく幼児教育無償化の制度設計は、熟慮に熟慮を重ねて行ってもらいたい。

【プロフィル】細川珠生

 ほそかわ・たまお ジャーナリスト。元東京都品川区教育委員会教育委員長。テレビ・ラジオ・雑誌でも活躍。千葉工業大理事。1児の母。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。