【高論卓説】「家庭養育原則」どう実現するか (2/2ページ)

 児童養護施設は、相部屋で集団生活をする「大舎」と呼ばれる施設がまだまだ多数を占めている。日本では、親から離れて暮らす子供たちの多くが18歳までそうした児童養護施設で暮らしてきた。改正児童福祉法ではこうした大規模な施設を「家庭的環境」として認めておらず、大舎を小規模化していくことが求められている。小規模化はこれまでも施策として進められてきたが、これを本格化する必要が出てきたのだ。

 「ビジョン」では就学前の子供について「原則として施設への新規措置入所を停止する」と明記したこともあり、児童養護施設関係者の間に動揺が走っている。専門委員会では、大規模施設をファミリーホームなどに分散・小規模化していくか、そのための財政援助をどうするかといったことも大きなテーマになっている。

 もともと安倍晋三内閣は「児童虐待の防止」に力を入れており、その柱が児童福祉法の改正だった。日本では親から離して養育している子供の数はドイツやフランスの3分の1以下で英国と比べても3分の2だという。人口比でみれば、日本は極端に少ないことになる。家庭内で虐待されているにもかかわらず、児童相談所が把握できなかったり、把握していても対処できていなかったりする子供が、まだまだたくさんいることをうかがわせる。具体策を決めていく専門委員会での議論を見守りたい。

【プロフィル】磯山友幸

 いそやま・ともゆき ジャーナリスト。早大政経卒。日本経済新聞社で24年間記者を務め2011年に独立。55歳。