株式バブルの終焉を伝える確かなサイン アメリカの長短金利差でわかる「戌笑う」今年の景気 (3/6ページ)

 2018年は「笑う」年になるのか?

 こうした過去の経緯を踏まえつつ、来年を展望するとどうだろうか。相場格言によれば、2018年、戌(いぬ)年は「笑う」年となる。確かに、2018年は金融市場にとってありがたい要因が揃っている。まず、景気および企業収益の伸びは続く。以前のコラム(「来年の『景気減速』を予測する3つの根拠」)で指摘したように、世界経済は減速に向かう公算が大きいものの、一定程度これを米国の減税効果が相殺するだろうし、景気「拡大」自体は持続する可能性が非常に高い。

 また、こちらも(「米国経済の『バブルつぶし』は成功するか」)で指摘したように、米国を中心として、インフレ率が加速する局面に世界経済が突入するまでには、まだまだ時間が残されている。したがって、猛烈な金融引締めを懸念する理由にも乏しい。

 その上、2016~17年に比べると、大きな政治リスクが懸念されている状況ではない。米国では中間選挙が行われるものの、すでに最大の注目材料であった税制改革は妥結している。欧州でも複数の国で選挙が行われるものの、Brexit級のインパクトを起こしうると懸念されているイベントはない。また、日本でも、2019年の参議院選挙と統一地方選挙まで、大きな選挙が予定されていない状況だ。

 上述した(1)景気拡大継続、(2)金融緩和継続、(3)リスクイベント減少、の3条件は全て、金融市場にとっては好材料だ。これらの要因を踏まえると相場格言の示す通り、戌年に当たる2018年は「笑う」年になるとの見方には、一定の妥当性があるように思われる。

 しかし、見過ごされているリスクはないだろうか。

バブル崩壊と景気後退を必中させるサイン