また物価2%上昇の達成を目指す日銀も賃金上昇に期待を寄せる。高水準の企業収益や人手不足が続く中で賃金上昇圧力は着実に高まっているとみられるが、企業が省力化投資を優先させるなどしてきたため、実際には賃金が上がってこなかったからだ。しかし今後、実質賃金の増加が個人消費を改善させれば、物価基調の押し上げにつながる可能性もある。
だが現状では企業や消費者のデフレマインドは払拭されていない。企業は仕入れ価格の上昇を販売価格に十分に転嫁できておらず、物価目標達成に向けた道筋は不透明。経済界では流通や銀行を中心に賃上げに前向きな企業も出てきているが、国際競争の激化などを背景に自動車や電機は賃上げに慎重なままだ。消費喚起によるデフレ脱却のためには、30年春闘で、賃上げの動きがどれだけ広がるかが焦点になる。(今井裕治、飯田耕司)