米のTPP復帰検討、派閥争い見え隠れ 通商強硬派と国際協調派の争いし烈に (1/2ページ)

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 強硬な通商政策を進めてきたトランプ米政権が、就任2年目に入り軌道修正を探り出した。路線転換の背景には、政権内での通商強硬派と、国際協調に前向きなグループとのせめぎ合いが見え隠れする。

 「すごいニュースがあるぞ」。25日、米CNBCテレビのインタビューに応じたトランプ氏は、自らそう切り出し、TPPへの復帰検討を示唆。政権内部で十分に準備された回答だったことをうかがわせた。

 政権は昨年1月、TPP離脱を決定。その後は一貫して2国間協議にこだわってきた。メキシコなどとのNAFTA再交渉でトランプ氏は度々離脱をほのめかし、中国などを念頭に置いた通商法201条の緊急輸入制限(セーフガード)も約16年ぶりに発動する。

 そうした中、「TPP復帰」のメッセージが発信された背景には、政権内の派閥争いが影響しているとみられる。

 ナバロ国家通商会議委員長やバノン首席戦略官兼大統領上級顧問ら国際協調に背を向け、強硬な政策を主導した側近が失脚。コーン国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン財務長官のウォール街出身の国際派が、昨年末の抜本税制改革を指揮して成功を収め存在感を高めている。

 米産業界では他国に出遅れるとして、TPP離脱に対する批判が根強い。コーン氏ら国際協調に前向きな側近が、実利を優先してTPP復帰を探る構図が浮かび上がる。

国際派が狙う次の“標的”