リサイクル担う自転車女性 ベトナム、分別なしの公的機関を“カバー”

 ベトナムの大都市では、女性が自転車で段ボールや空き缶を運ぶのをよく見かける。家庭などから出た資源ごみを集め、街の回収業者に売る仕事だ。公的機関の分別回収がほとんど行われていないベトナムは、こうした女性がリサイクルの重要な担い手となっている。

 1月の首都ハノイの大通り。「ノンラー」と呼ばれるすげがさをかぶったチャン・ティ・オアインさんは、自転車の荷台に段ボールを崩れ落ちそうなほど積む。各家庭を回って買い集めた不要な紙や缶を、回収業者に売りに行く途中だ。

 「ほかに職がなかったのでこの仕事に就いた。もう20年近くやっている」。段ボールの場合、1キロ2000ドン(約10円)で買い取り、回収業者に2500ドンで売る。1日当たり15万~20万ドンの利益だ。旧正月(テト)を控えるこの時期は商品の売買が多くなる。大量のごみが出るため「いい商売になる」という。

 オアインさんらが集めたごみは、ハノイに100カ所以上あるともいわれる零細回収業者がプラスチック、紙、鉄などに分別した後、それぞれの資源処理を専門に扱う「リサイクル村」と呼ばれる地区で、再利用のために加工される。一部は中国などに輸出されるという。

 ハノイの回収業者、ブー・ティ・ニュンさんは「もともと農業をやっていたが、年2回しか収穫のないコメに比べ、もうけが良いので本業になった」と話す。

 ただ、このようなリサイクルには限界もある。現地メディアによると、資源ごみでも「お金にならない」と見なされるポリ袋やストローは回収されにくく、生ごみとともに処分場へそのまま投棄される。また、公的なごみ処理システムの枠外にあるため管理が行き届かず、加工処理の過程で発生するガスや汚水による環境汚染などの問題が出ている。

 ベトナムのごみ処理専門家は現地メディアに「行政が分別回収するにはより多くの施設と人員が必要だが、当局にそんな予算はない」とし、小規模業者に頼らざるを得ない現状を指摘した。(ハノイ 共同)