【働き方改革】裁量労働制の施行1年延期へ 政府が準備期間必要と判断…平成32年4月施行検討 厚労省データ不備も影響か

 政府は21日、今国会に提出予定の働き方改革関連法案に関し、裁量労働制の適用拡大の施行時期を予定より1年延期して平成32年4月とする方向で検討に入った。裁量労働制度をめぐっては、厚生労働省が示したデータの不備が判明しており、影響した可能性がある。年収の高い専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設も1年遅らせ、32年4月にする見通しだ。

 裁量労働制は働いた時間に関係なく賃金が支払われるもので、法案には一部営業職への適用拡大などが盛り込まれている。

 ただ、裁量制で働く人の労働時間が一般労働者より短いとしていた厚労省のデータに不備があることが発覚。今月14日には、国会答弁でデータを引用していた安倍晋三首相が答弁の撤回と謝罪に追い込まれた。

 政府は、法案内容を議論した厚労省の労働政策審議会にデータを示していなかったことなどから、裁量制の適用拡大自体に問題はないとの立場だが、31年4月の施行を予定する現行案では周知や準備が間に合わない恐れがあると判断した。

 安倍首相は21日、公明党の山口那津男代表と官邸で会談。山口氏は「法案提出にあたっては、厳密な審査を経て政府・与党でしっかり対応できるよう整えてやっていくべきだ」と求めた。安倍首相は加藤勝信厚労相とも会談し、自民党内の調整に万全を期すよう指示した。

 衆院予算委員会は22日、安倍首相が出席して働き方改革関連法案などをテーマに集中審議を実施する。=2面に「主張」、5面に「再調査要求へ」