インドを囲むように築かれた中国の港湾拠点「真珠の首飾り」に対抗するため、インドのモディ政権が中東産油国との関係強化に本腰を入れ始めた。イランやオマーンに港湾拠点を確保、アラブ首長国連邦(UAE)からの油田権益の取得でも合意した。原油輸入国としての存在感の高まりを背景に「首飾り」の外で足場を築こうとしている。
「インドとイランには長い文明と文化の交流がある」。モディ首相は17日、首都ニューデリーでイランのロウハニ大統領と会談、イラン南東部チャバハル港の運営権の一部を借りることで合意した。港の約150キロ東には中国が開発を支援するパキスタンの港がある。
中東からのシーレーン(海上交通路)を重視する中国はミャンマーからスリランカ、パキスタンの港湾開発を支援。インドは「首飾り」に対抗するため、米軍や日本の海上自衛隊と共同訓練を実施、対抗軸を結成してきた。さらに狙うのは、原油輸入量で米中に次ぐ世界3位の需要を背景にした中東産油国との連携だ。
モディ氏は10日にUAEを訪問、インド政府系の石油企業がUAE側から油田権益の一部を初取得することで合意した。翌11日にはオマーンを訪問し、同国東部ドゥクム港にインド海軍の艦艇が寄港できる合意を取り付けた。インドの現地紙タイムズ・オブ・インディアは、「首飾り」の外での外交攻勢を「中国への抑止力」と評価する。
ただ、中国はドゥクム港開発にも多額の投資を検討し、アフリカ東部ジブチにも中国軍の補給基地を置く。これらも「インド包囲網」となる可能性があり、アジア両大国の拠点競争はさらに激化しそうだ。(ニューデリー 共同)
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【用語解説】真珠の首飾り戦略
中東やアフリカからアジア方面に原油を輸送するシーレーンの拠点となる港湾を、インド洋周辺国に整備する中国の戦略。パキスタンやスリランカ、ミャンマーなどの港を地図上でつなげると首飾りのように見えるため、こう呼ばれる。中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」とも重なる。インドは自国への包囲網として警戒し、日米とインド洋での安全保障協力を強化している。(ニューデリー 共同)