中国の主要なコーヒー生産地、雲南省普●(プーアル)市。コーヒー農園を営む70代の廖(りょう)秀桂さんは、コーヒーをいれていた。窓の向こうには300ムー(1ムーは約6.67アール)のコーヒー畑が広がる。21年前は荒れ地だったが、気候がコーヒー栽培に適していることに着目した廖さんらが開墾した。現在、同市のコーヒー栽培面積は78万9000ムーを超え、年間収穫量は5万8600万トン。コーヒー農家は約7万5000戸、従事者は約30万人となった。
同市でコーヒー産業に携わる李洪方さんは、雲南コーヒーの国際化を進めてきた。それは同市コーヒー農家の共通の夢だった。李さんはネット環境が今ほど整っていなかった2001年、海外業者に一軒一軒、売り込んだ。わずか2ケースの出荷から始まった海外進出だが、今や米国やフランス、日本など、輸出先は30以上の国と地域に上る。
だが、「輸出先は増えたが、私たちには価格決定権がない。増産しても増収にはならない」と話すのは李さんの息子、冠霆(てい)さん。冠霆さん、そして廖さんの娘、海鷹(よう)さんら2代目は、輸出方法の変革を探るとともに、消費力が高まる国内市場での販売を拡大しようとしている。
海鷹さんは「自国の商品や市場の育成を通じてこそ、中国のコーヒー農家は国際市場での発言権を持つことができる」と話す。(中国新聞社)
●=さんずいに耳