ミャンマー、ロヒンギャ流出から半年 「民族浄化」抜本的解決なく

ロヒンギャ難民の帰還に備え、収容施設を建設する労働者=ミャンマー西部ラカイン州(AP)
ロヒンギャ難民の帰還に備え、収容施設を建設する労働者=ミャンマー西部ラカイン州(AP)【拡大】

 ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャが、隣国バングラデシュに流出する原因となった治安当局とロヒンギャ武装集団の衝突から半年以上になる。国際社会はロヒンギャ迫害を「民族浄化」と非難し、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相への批判は今も続く。だが、ミャンマー政府に問題を抜本的に解決する姿勢は見えず、ロヒンギャの帰還は実現していない。

 国連によると、昨年8月25日の衝突以降、バングラデシュに逃れたロヒンギャは68万人以上で、大半がバングラデシュの難民キャンプで暮らしている。

 ミャンマー政府は難民の一時収容施設を建設して帰還への積極姿勢を示すが、ロヒンギャに国籍を付与して自国民とする方針はない。

 バングラデシュ政府は2月16日、ロヒンギャ約8000人の名簿をミャンマー側に提出。第1陣帰還に向け最終調整中だが、タイ紙は「帰還開始で、ミャンマーが国際社会の批判回避を狙っているだけ」と指摘する。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は同月23日、ミャンマー政府が西部ラカイン州でロヒンギャの村を重機で一掃していることを衛星写真の分析で確認したと発表。ロヒンギャの帰還が実現しても貧困や差別など苦難は必至だ。

 ミャンマー国軍は昨年9月のロヒンギャ10人の殺害に関与したとして兵士ら16人を逮捕し、非を認めたが、人権団体は「氷山の一角」とする。

 米国は、ミャンマー治安部隊が昨年8月、ロヒンギャを殺害したなどとして、国軍将軍を独自の制裁対象にした。欧州連合(EU)も、ロヒンギャ迫害が依然「極めて深刻」だとして、ミャンマーへの制裁強化を検討している。民主国家実現を掲げながら、ロヒンギャ対応でつまずいたスー・チー氏への国際社会の風当たりは強い。(ヤンゴン 共同)