がんゲノム医療　厚労省検討会、中核拠点病院に１１施設選定

　■受診体制整備、データ一元管理

　がん患者の遺伝子を調べて最適な薬や治療法を選ぶ「がんゲノム医療」。厚生労働省の検討会は、中核拠点病院として北海道大病院や国立がん研究センター中央病院など１１施設を選定した。技術面で要となる遺伝子を調べる検査法も近く「先進医療」として承認される見通しで、４月開始に向けた体制が固まった。

　中核病院は、主に遺伝子検査や治療法の選定などを担当。研究や新薬開発、人材育成の役割も担う。

　がん組織や血液などの検体採取や治療は、主に各地の連携病院が受け持ち、中核病院は協力して治療に当たる。中核病院でも患者を受け付ける。連携病院は今後募集され、中核病院を通じて厚労省に申請する。３月末までに全国で数十カ所程度が決まる予定。将来的には都道府県ごとに１つ以上の連携病院を設置し、全国どこでもゲノム医療が受けられる体制を目指す。

　遺伝子を調べる検査法は、がんに関連する１００以上の遺伝子を一度に分析できるもので、数十万円と高額なことが課題となっている。一方、解析技術の進展で、がんの原因となる遺伝子変異を素早く見つけられるようになり、変異を標的とした薬や治療法の開発が、欧米で活発に行われている。

　日本は出遅れたが、厚労省は全国から集まったゲノム医療の診療データを一元管理し、研究に利活用することで巻き返す構想を描く。集積したビッグデータを人工知能（ＡＩ）で解析すれば、治療薬が増えていくと期待されている。