木材などを原料とする軽くて丈夫な繊維で「夢の新素材」とされるセルロースナノファイバー(CNF)に注目が集まっている。森林が多く、製紙業などCNFに関連した産業が盛んな静岡や四国などの自治体などが普及を支援し、音響機器や自動車関連など幅広いメーカーが開発を加速している。
CNFは植物に含まれる「セルロース」を細かくして作る繊維で、太さは髪の毛の約1万分の1。鋼鉄に比べ重さが5分の1程度、強度は5倍以上とされる。消臭機能を高めた紙おむつなどに既に使われている。
静岡県は2018年度予算にCNF推進事業費約1億円を計上。CNFを使った県内の中小企業の試作品開発に最大200万円を助成する。商工振興課は「行政が後押しして開発を進めていきたい」と意気込んでいる。
静岡県はCNFの開発に取り組む企業や大学などで構成する組織「ふじのくにCNFフォーラム」を15年に設立し、商談や技術支援の仲介を手掛けている。
17年10月には国内最大級の展示会を富士市で開き、47の企業や団体が参加した。音響機器部品を製造するプラス産業(静岡市)は、スピーカーなどの振動板にCNFを使った部品を出展した。細かな繊維を使い、振動させる紙の密度を高くすることで、音の伝達速度が速くなり、従来は難しかった高音域を再生できるようになったという。