自動運転整備大綱、20年めどに記録装置義務化へ 自賠責で救済も

 政府は30日、未来投資会議を開き、自動運転の実現に向けた制度整備大綱を取りまとめた。事故の際には自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)を活用して被害者を迅速に救済するなど安全性を確保しつつ、日本の自動車産業が競争力を維持できるよう支援する姿勢を明確にした。事故原因を判断するため、2020年をめどに車両へのデータ記録装置設置の義務化を検討する。刑事責任については、関連法の改正などを関係省庁で協議する。

 安倍晋三首相は会議で「自動運転は生産性革命の大きな武器だ」とし、関係省庁に詳細な制度設計を急ぐよう指示した。

 大綱は、一定の条件下で自動走行し緊急時に運転手が操作する「レベル3」が実用化される20~25年ごろを主に想定した。通常の事故は自賠責で救済するのに対し、ハッキングされた車両による事故の損害は、盗難車による事故と同じく政府が補償する仕組みとした。

 自動運転の車両が満たすべき安全性の具体的な要件について、今夏をめどにガイドラインを取りまとめる。国際的な自動運転のルールや安全基準づくりの議論に政府が積極的に参加し、主導的な役割を果たしていくとした。

 自動運転のほか、行政手続きのオンライン化についても議論し、各種申請に必要な本人確認の添付書類を原則撤廃する方針を確認した。マイナンバーカードなどで本人確認を代替する。そのための新法を今秋予定される臨時国会へ提出し、成立を目指す。