【米輸入制限】中国が報復措置 本音は「対米貿易戦争を回避」 アメとムチで妥協点模索 (1/2ページ)

米国からのナッツ類などが並ぶ北京市のスーパー。中国の報復措置により米中貿易戦争が過熱する恐れがある(AP)
米国からのナッツ類などが並ぶ北京市のスーパー。中国の報復措置により米中貿易戦争が過熱する恐れがある(AP)【拡大】

 中国は、米国の輸入制限への報復措置に踏み切ったが、「圧倒的に不利な対米貿易戦争だけは避けたい」(上海の経済学者)のが本音だ。表向きの強硬姿勢とは裏腹に、今後の交渉で落としどころを探す展開が続きそうだ。

 中国は農畜産品を標的にすることで、米国の生産者の「トランプ離れ」を狙う。ただ、米国の昨年の対中貿易赤字は総額2758億ドル。このうち最大で500億~600億ドルの中国製品が輸入制限の対象になるため、中国側の約30億ドル分の報復措置には“遠慮”が透けてみえる。

 米中が報復措置の応酬になると、中国の経済成長を支えてきた対米輸出が腰折れとなり、景気悪化は避けられない。習近平指導部は「強国路線」をアピールするが、報復関税は米国を交渉のテーブルにつかせる象徴的意味合いが強い。

 中国は、地位の高い2人の交渉担当者と硬軟取り混ぜた対米カードを用意。3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で、国家副主席になった王岐山氏と副首相に選出された劉鶴・共産党中央財経指導小組弁公室主任は、いずれも米国からの信頼が厚い。2人を前面に出しながら、保有する米国債の売却や北朝鮮の核問題を「ムチ」にする。一方、金融市場や医療、次世代車の分野での対外開放など「アメ」も用意した。

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