日銀が2日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、原材料価格の高騰で大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回(昨年12月)調査から2ポイント下落のプラス24となり、2016年3月以来、2年(8四半期)ぶりに悪化した。トランプ米政権の保護主義的な通商政策や円高・株安の影響で、3カ月後を示す先行きも4ポイント下落のプラス20と1年半(6四半期)連続で悪化した。
大企業製造業の事業計画の前提となる18年度通期の想定為替レートは109円66銭と17年度より1円1銭の円高方向を見込む。ただ、足元の水準はさらに3円程度円高で、為替相場がこのまま推移すれば輸出企業の利益が圧迫される。
設備投資額は17年度の大企業全産業が前年度比5.2%増で、前回調査から下方修正した。18年度は2.3%増を計画している。
一方、雇用の過剰から不足を差し引いた雇用人員判断は全規模全産業がマイナス34と、不足幅が1991年11月以来の水準まで拡大した。人材確保が一層難しくなっており、今後の景気の重荷になる可能性がある。
最近の大企業非製造業の景況感は2ポイント下落のプラス23。建設など人手不足が深刻な業種で落ち込んだ。
DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は2月26日~3月30日に実施し、約1万社が回答した。今回から調査先企業を見直したことで、比較する前回調査結果を一部修正している。