IR法案 27日に国会提出 政府方針 会期内成立は微妙

 政府は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案を大型連休前の27日に閣議決定し、今国会へ提出する方針を固めた。政府、与党関係者が5日、明らかにした。6月20日までの会期内成立を目指すが、審議の日程調整は難航しそうで、成立は微妙な情勢だ。

 関係者によると、IR法案を審議する衆院内閣委員会は、3月末に提出された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連法案を先に処理する見通し。その後に取り扱う法案をめぐり、公明党はIR法案よりもギャンブル依存症対策基本法案を優先するよう求めている。参院審議も同じ流れが見込まれる。

 依存症対策法案は昨年12月、自民、公明両党による与党案と、立憲民主党などによる野党案が特別国会に提出され、ともに継続審議となっている。自民党は法案一本化を野党に呼び掛けているが、協議は進んでいない。

 また立民、共産、自由、社民4党がIR法案に反対の立場を鮮明にしていることを受け、公明党は「国民の理解を深められる議論が必要だ」(山口那津男代表)と慎重に審議する必要性を強調。自民党は強引な国会運営をしにくい状況にある。

 さらに、公明党はIR法案のための会期延長を認めない方針で、自民党関係者は「時間切れで継続審議となる可能性は否めない」としている。

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【用語解説】統合型リゾート施設(IR)実施法案

 カジノ営業規制などを定める法案で、法施行によってカジノが解禁される。与党合意に基づき、全国のIR整備箇所を最大3カ所、日本人客のカジノ入場料を6000円、日本人客のカジノ入場回数を週3回、月10回までに限ることなどが盛り込まれる。今国会で成立した場合、整備区域の認定といった手続きを経て整備が始まり、最初のIR開業は2020年代半ばと見込まれている。