ローカリゼーションマップ

リトアニアを訪ねて~カギ握る文化アイデンティティー 世界に挑むデザイナー (3/3ページ)

安西洋之

 前回、カウナス工科大学機械工学・デザイン学部長のインタビューのなかで「エストニアはソフトウェアなどの無形、リトアニアは部品など有形が産業として強い」との言葉を紹介したが、これに繋がると思われるヒントをカーライナは語ってくれた。

 「エストニアはフィランドにあるような自然を素材とした工芸品の伝統があり、またアーティスティックなモノも多かったですね。リトアニアと傾向を異にするところで、エストニアがコンピューターのユーザーインターフェースの開発に強みを発揮する遠因の1つとも考えられます」

 今世紀に入り、特にこの10数年でリトアニアのデザイナーが国際ネットワークのなかで活躍するようになってきたが、ある程度の経済レベルの国になると共通にある現象だ。最初、富裕な家庭の子弟が欧州のデザイン学校に留学し、それが徐々にマスに広がる。そして彼らが教師のデザインスタジオで職業経験を積み、故国に戻り活動をスタートさせる。

 こうした対抗馬が多く、しかもまだリトアニアに完成品メーカーが少ないなかで、何を勝負の道具にしていくか。そして世界のデザイン潮流は、ローカル価値の再発見と発信である。

 リトアニアのデザイナーの自信の拠り所として、美意識や文化アイデンティティーがどう関係してくるだろうか。(安西洋之)

【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)

安西洋之(あんざい ひろゆき)上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。

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