【道標】新薬承認「ランダム化比較試験」不要通知 安全性の軽視、あってはならない (1/3ページ)


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 薬の効き目と安全性を確かめるには最終的に人での実験が必要だ。効果が非常にはっきりしていたエイズの抗ウイルス剤でさえ、人での実験で確認がなされた。効き目があっても害が利益を上回ることがあるからだ。

 実験では対象者を、「薬の候補」を使う人と、その成分を含まないプラセボ(偽薬)を使う人に公平に分け、効き目と害を確かめる。これを「ランダム化比較試験(RCT)」という。最少の人数で正確な結果を出すことができる方法だ。

 ところが昨年10月、薬剤によってはRCTを経なくとも製造販売を承認することが決まった。しかも法律によってではなく、厚生労働省の課長通知で、だ。薬の効き目と安全性を確かめる科学的な手続きに「赤信号」がともったといえる。

 効果と害の確認にRCTによる証明が必須だとする法律は、サリドマイド薬害を経て1962年に米国で定められ、世界中に広がった。

 半世紀を経て、サリドマイドやスモンなど薬害事件を忘れたかのような「規制緩和」に危機感を覚える。

 今回、手続きが緩和されたのは、技術革新により多数の新物質が開発される中で、厳しい規制が「高すぎるハードル」となったためだ。もっとも、緩和の動きは以前から強まっていた。

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